アダルトチルドレン(AC)イネイブラーの特徴と自分を取り戻すステップ
更新日:8月27日
イネイブラーは「助けて」「お願い」にノーと言えません。問題行動の片棒を担がされ、理不尽な要求をされても、いつか報われると健気に信じているからです。
[enabler]イネイブラー/支え役
お世話係・救済者・奉仕
イネイブラーは、機能不全家族の失われた機能を労働によって補完する【家族のボランティアワーカー】。不在や放棄(ネグレクト)する親に代わって、家事・育児・介護・就労による経済活動などを担う。支配的な親の問題を助長し、歪んだ依存・服従関係を築く。搾取子に多い。
イネイブラーの毒親
イネイブラー(enabler)は心理学用語で、その人の問題行動を助長させてしまう共依存者を指します。たとえば、アルコール依存の親に「もう今日はこれで最後だよ」とカップ酒を差し出す娘にあたります。娘のやさしさは、まったく親のためにならないばかりか、逆にアルコール依存を深刻化させてしまいます。機能不全家族の場合も同様で、親孝行のつもりで献身的に尽くし、毒親がより毒親になる手助けをしてしまうのです。
当然ながら、イネイブラーをつくりだしたのは毒親です。親に代わって家事をするように、弟妹の面倒を見るように、言うことを聞いたら愛してあげると条件付きの愛情で言い聞かせたり、あるいは「○○してほしかったらこれをやれ」と脅かし命じたのです。親の機能を代行するイネイブラーは「偽親(にせおや)」とも呼ばれます。また、不在型の毒親をサポートしたり、搾取型の毒親に奴隷のように奉仕する搾取子もイネイブラーといえます。
→【毒親タイプ不在型】
→【毒親タイプ搾取型】
イネイブラーの特徴
イネイブラーは幼少期から、家族に奉仕することを覚えます。親が不在の夜を小さな弟妹と過ごす怖さ、寂しさ、生活やお金の苦労、家事や介護の労働での疲労、自分しか請け負う者がいない重圧、長じてからは仕送りや借金返済などの経済援助。自分の生きがい、喜び、楽しさを犠牲にして、毒親のため、家族のために全力で尽くしてきました。長年のこうした習慣はイネイブラーに「わたしさえ我慢すればすべてうまくいく」という妄想を植えつけ、理不尽な苦労や自己犠牲へと駆り立てています。
どんなにつらくとも、手を貸さないという選択肢はイネイブラーにありません。育ててもらった恩があるから、見捨てられないのです。イネイブラーは、現在の家族関係で親が幸せでないことも知っています。それを自分のせいだと考えます。「自分さえいなければ、親はもっと自由で幸せだったはずなのに、自分を産んだせいで、こんなに苦労している。だから自分が親より先に幸せになってはいけない」という信念のもと、親の生活を支え続けるのです。自分の優先順位を最下位に置き、自分の夢を否定して。そのくらいしか自分に存在価値はないと思い込んでいます。
イネイブラーの心のキズ
「親が幸せでないのは自分が生まれたせい」という罪悪感からイネイブラーは自由になることができません。そのため、自分のことを犠牲にし、つらい思い、恥ずかしい思い、悲しさや怒りを抱えながらも、理不尽な要求に応えてしまいます。
「自分は幸せになってはいけない」という信念もイネイブラーを苦しめます。親密な関係性が生まれたとき、重い愛情で相手に尽くし縋った結果、破綻を招きます。そして「やっぱり自分は幸せになれないのだ」と結論づけるのです。
イネイブラーを癒すために……
アダルトチルドレンが機能不全家族で演じなければならなかった役割によって、どんな心の状態だったか理解することが大切です。
幼少期から家族を支えてきたイネイブラーには、その年代ごとにそれぞれのつらさを体験してきました。そのとき、口にすることができなかった恐怖や不安、悲しさや寂しさ、怒りや恥ずかしさ、そして嫉妬や憧れ。それらを一つひとつ振り返ってあげること。そして、それらは自分のせいではないと知ること。
親には親の人生があり、同様に自分には自分の人生があること。今まで生きていたのは半分以上、親の人生、今度は自分だけの人生を歩んでいいこと。その人生で幸せになっていいこと。きっと幼少期にあった、好きなもの楽しんだことを思い出すこと。もう一度、その喜びを味わってみること。
抑圧された感情が少しずつ解放され、癒されることで自己奪還のプロセスが進んでいきます。
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