アダルトチルドレン(AC)ヒーローの特徴と自分を取り戻すステップ
更新日:8月27日
ヒーローは強く、正しく、美しくあることを背負わされた子。失敗は許されず、弱音も吐けず、愚痴も言えず、つらくても悲しくても泣くことはできませんでした。
[hero]ヒーロー/英雄役
役割:自慢の子・優等生・万能選手
学校や職場など【家庭の外での華々しい活躍】で家族の誇りとなる役割。 ヒーローの好成績・高評価は、一時的であっても両親の不仲を和らげたり、家庭内に明るいお祝いムードをもたらす。家族の期待を一心に背負ったヒーローは、その役割を全うするためハードワークを欠かせない。
ヒーローの毒親
夫婦関係、兄弟関係、親世代と子世代など人間関係の問題を抱えている機能不全家族にとって、ヒーローは家族の問題から目を背けさせてくれる存在です。また、実態はともかく家格にプライドのある名家や、次代が継ぐべき家督や家業のある一族はヒーローをつくりたがります。
しかし、ヒーローであっても決して安泰ではありません。すでに不動産業界で活躍していたドナルド・トランプの父は、当初、長男フレディをヒーローにしました。品行方正で学業優秀だった彼は文字通りトランプ家の次代を担うヒーローでしたが、彼が家業でなくパイロットの仕事を選ぶとその存在を無視するようになります。そして、四男ドナルドを新たなヒーローに据えました。ドナルドが派手な言動で注目を集める一方、フレディは一族から隔絶され、アルコール依存に陥り、最後は失意と孤独の中、42歳の若さで亡くなりました。
ヒーローの特徴
この家族がうまく運営されていくには、自分の成功にかかっているので、とにかく努力は惜しみません。猛烈にがんばり続けるのです。
ほかの子が楽しいからやる純粋な努力と異なり、ヒーローにとっての努力とは、家族のムードや人間関係を守るための闘いです。期待に応えられなかったときの、目も当てられない惨状が見えているヒーローは、100%では満足しません。「もっともっとできるはず!もっともっとやらなければ!」と200%をめざす姿は孤独で悲壮感が漂います。周囲の人は、なぜヒーローがこんなにもストイックに自分を追い込むのかがわかりませんが、ヒーローにとっては「優勝できない/成功できない自分など、存在価値のない人間」なのです。
努力が実り続けている間は、うたかたの幸せが続きますが、ミスや失敗がきっかけで挫折すると、立ち直りには時間がかかり、再起不能になることも。また、その経験から、ミスや失敗を過剰に恐れるようになります。ヒーローが、家族の期待を背負い打ち込んでいる対象が、自分自身の望んだものであることを願わずにはいられません。
ヒーローの心のキズ
勝利と成功を求められ、期待に応え続けるためにヒーローは、恐れや不安、寂しさを抑圧します。そして、「もっともっと○○しなければならない」「もっともっと○○するべきだ」と自分を猛烈に追い込むのです。
「もう無理!」「疲れた」「できない」とは言えません。逆に、どれだけ活躍し、どんな好成績を得ようとも、「よし、やりきった、これで十分だ」と思うこともありません。失敗への恐怖、孤独、疲れ、自己不信感、無能感が心に満たされています。
ヒーローを癒すために……
アダルトチルドレンが機能不全家族で演じなければならなかった役割によって、どんな心の状態だったか理解することが大切です。
ヒーローの場合、家族のために向き合い、期待に応える中で、吐き出せなかった弱音や悲観、孤独を認めてあげること。そのとき、悲しく、恐ろしく、あるいは腹立たしく思ったことを許してあげること。生き物としての疲れを認め、身体を休める、眠ることで、自分を労わってあげること。
ヒーローは「できない」「わからない」「手を貸してほしい」「疲れた、休みたい」などを相手に伝えることに、かなり抵抗を感じます。もし言えるようになったときは、心の状態がかなり自由になった証といえるでしょう。また、努力を重ねた対象が自分の夢や好きなことと一致するか、しないか確かめてみること。本当にやりたいことを探ること。
抑圧された感情が少しずつ解放され、癒されることで自分を取り戻すプロセスが進んでいきます。
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