【2025年】自分を変える7つの習慣【5】気持ちいい人間関係からパワーをもらう
更新日:9月21日
人間関係くらい、「自分の幸せ」や「自分の人生」に大きな影響を及ぼすものはありません。悩みというマイナスの面と同様に、自己実現というプラスの面でも人間関係の効果は絶大。気持ちよく活用できたら、まさに千人力、万人力です!
ここでは自分を変える、幸せにする、パワーをもらえる人間関係での習慣を3つご紹介します。
1. つきあう相手を選ぶ ~類友を実証するつながりの法則
みなさんは「友だちは選びなさい」と注意されたことはあるでしょうか。これ、科学的に証明されています。幸せな人は幸せな人同士で、不幸な人は不幸な人同士で、ネットワークを築きます。あなたはどちらを望みますか?
◆幸せも不幸も人から人へ「伝染る」
誰もが「幸せ」を望んでいます。もし、それが自分のためだけでなく、あなたの友だちにまで影響が及ぶとしたら……? もうちょっと真剣に「自分の幸せ」を考える必要があるかもしれません。
ハーバード大学のクリキタス博士たちが行った社会ネットワークの調査結果によれば、ある人が幸せである場合、その友だちの15%、友だちの友だちの10%、友だちの友だちの友だちでは6%が幸せになるそうです。
つまり、あなたが幸せだと、あなたの友だちも幸せになる確率が高まるというのです。幸せだけでなく、不幸も「伝染る(うつる)」といいます。さらに、肥満や禁煙といった嗜好性や生活習慣、身体性まで、あらゆることが関係性のなかで伝染るというのです。
◆人間関係で起こる「つながりの法則」
この理由について、3つ挙げられています。
類は友を呼ぶ:似た者同士は自然にくっつく。
誘導作用:言葉や行動、感情が感化される。「感染」とか「引き寄せ」とか呼ばれる現象。
集団的共感:グループのメンバーがある感情を伴うできごとを体験したとき、グループ全体が同じように体感したり、共感したりする。
人間関係ではこのように「つながりの法則」が働いています。幸せ者同士はくっつきやすく、誰かが幸せだと自分も幸せになろうとして、一人の幸せの体験を集団が味わうことで集団全体に幸せが広がります。そして、「幸せ」を「不幸」に置き換えても同じことが起こります。
この発見は「朱に交われば赤くなる」の科学的根拠といえるでしょう。あなたが「自分がなりたい人たち」のグループに入れば、「なりたい自分」に自然になれる。一方、その逆もあるわけです。つきあう人を変えると自分が変わるといいますが、そういう意味でも人間関係を選ぶ必要があります。
2. 自分をオープンにする ~自己開示と返報性の原理
「腹を割って話す」と言われますが、本音・本心をオープンにすると人間関係の距離をぐぐっと縮めることができる、これもまた実証されています。外側のスペック(出身、学歴、勤務先など)じゃなくて、内面(どんな考えや気持ちを持っているか)を話したとき、どんな効果があるのでしょう。
◆心の距離を狭める打ち明け話
もし、「自分がなりたい人たち」のグループに参加できたとしたら、すでにあなたにはつながりの法則が働き始めています。それは大きなチャンスですし、あなただって興味津々のはず。誰かに話しかけられるのを待って、モジモジしているヒマなどありません。ただ、情報を「聞き出そう」とやっきになっても、相手の警戒心のガードを固くするだけです。
そんなとき、自分から先に、自分が何者であるかを話してしまうのです。すると二人の間にあった緊張や警戒心が緩められて、相手との距離がぐーっと近づきます。
◆意気投合のヒミツは「返報性の原理」
これを、「自己開示」といいます。自分の情報や今、自分に起きていることを、ありのまま相手に伝えることです。
「どんなことに興味をもっていて、どこに住んでて、どんな仕事で~」と話すうちに、自然に打ち解けて、気がついたら話が弾んでた……偶然だと思っていたかもしれませんが、意気投合するときは、いつもだってこんな状態です。
これにはわけがあります。誰かに何かしてもらったら、自然にお返しをしようという気持ちが芽生えるもの。これを「返報性の原理」といいます。コミュニケーションも同じで。出身地や出身校などの生い立ちや、夢や悩みなどの個人的な思いを打ち明けられた相手は「この人は自分のことをこんなに話してくれたのだから」と心の扉を開いてくれるのです。その結果、二人が「初対面なのに、こんなに話し込んでしまった」という体験をすることで、双方に「意気投合した人」「深い話ができる人」と印象づけられるのです。
◆純粋性が心の扉の鍵
ただし、ひとつ注意しなければなりません。
それは、自己開示と自己アピールは違うということです。
「〇〇ができる」「〇〇が得意(上手)」「〇〇してあげる」「〇〇をよく知ってる」など、自慢や押し売りと受け取られ、相手との心の距離を遠ざけてしまいます。
自己開示とは、ありのままの自分を表現することです。得点を稼ぐとか、自分をよく見せるものではありません。損得勘定のない純粋性によって、自己開示の効力は発揮されます。
自己開示によってもたらされるメリットはたくさんありますが、自分を変えたいあなたにとって欠かせないのは「背中を押してくれる」効果でしょう。
目標や夢、悩みを自己開示すると、返報性の原理によって、相手には「応援したい」という気持ちが生まれます。さらに、自己開示された「夢を実現したい」という思いは、つながりの法則でグループ全体にもたらされます。こうして、友だちが多くなればなるほど、自己実現はしやすくなるのです。
3.「すみません」を「ありがとう」に言い換える
人間関係での3つの習慣のうち、いちばん簡単にできて、すぐに効果が表れるのがこれ。自覚があるなすぐやめて、今から改めましょう。
◆「すみません」依存症
「すみません」は非常に便利な言葉です。
失敗を詫びるとき、相手を不快にさせたとき、相手の意向に沿えないとき、お店で注文するとき、何かをしてもらったとき、道や時間を尋ねるとき、全部「すみません」で通じます。相手やシチュエーションを気にせず便利に使いまわしている人も多いのでは。親しい間柄ならば「ごめんね」でしょうか。
どんな依存症にも厄介なことがあって、便利なこの言葉にも依存していると、人間関係に弊害が表われます。「すみません」「ごめんね」を会話の端々に挟む、謝り癖のある人もよくお見かけます。もしあなたがそうなら、大変危険なので直ちにやめることです。
◆「すみません」の謙虚さの裏側
「すみません」には、謝罪、依頼(呼びかけ)、感謝などの意味がある多機能な言葉です。多機能なだけに、取り扱いに注意が必要で使用には危険性も伴います。
落ち度がない、あっても非常に弱い相手から「すみません」と言われたら「あなたが悪いわけじゃない」「わたしはちっとも怒ってない」と否定しなくてはいけません。このとき、なぜか「申し訳ない」という感情が湧いたりもするのです。この機能は予防的措置として戦略的に用いられることもあります。「すみません、〇〇できなくて」という具合に。
「すみません」は謙虚そうでいて、実は雄弁です。
誰もいない受付ではちょっと強めの「すみません」で直ちに人を呼ぶことができます。頼まれたことをやりたくないときは「すみません」で婉曲に断ったり、「この話をこれ以上続けないで」と相手を制止したりできます。
さらに「すみません」を言われた側は「空気を読む」ことを強いられます。そのため「えっ?何」と相手を緊張させたり警戒させたりますし、落胆させることすらあるのです。
◆安全でお得な笑顔+「ありがとう」
「すみません」の機能性はこれだけではありません。感情を露わにすることを恥じらう日本人、日本社会にとって、まさに鬼に金棒の「感情をマスクする」という機能があります。悲しみや怒りをマスクするならいいのですが、喜びの場合はちょっと問題があります。
人は、喜びや親しみの感情をストレートに受け取ることを好みます。そのため、相手が喜ぶことを自然にくり返します。前述の「返報性の原理」です。「ありがとう」「ごちそうさま」「助かった」と感謝や喜び、労いを伝えれば、再度その恩恵を受ける確率は高まるというわけです。
このとき、喜びの感情が「すみません」でマスクされたら、伝わりにくさは否めません。それどころか「ありがた迷惑だったかな」と誤解を招く危険性さえあります。
喜びを表現するのが難しい場合、「すみません」を便利に使いたくなる多くの場面では、笑顔+「ありがとう」での代用が可能です。多用するなら、「すみません」をより「ありがとう」のほうが安全ですし、断然お得です。「ありがとう」の数だけ、あなたには喜びがくり返されるはずですから。
好きな人・憧れの人・尊敬できる人
あなたがいっしょに行動をともにするべき人です。「自分がなりたいと思う人」を選んでつきあっていれば、自然に「なりたい自分」に変わっていきます。
彼/彼女たちがあなたを選ばなかったいのではありません。あなたが彼/彼女たちを選ばなかっただけです。遠慮や謙遜をしたり、恥ずかしがったり、気になるけど遠巻きにして。そのかわり、つまらないし、興味もなければ、好きでもない相手とムダな時間を過ごしてきました。不機嫌な腐れ縁を続けながら、不満だらけの人生を変えることはできません。だけど、あなたはつきあう相手を自由に選べます。自分にとって望ましい人間関係を自分で築いていけるのです。
「他人と過去は変えられない。変えられるのは自分と未来」
エリック・バーンの言葉どおり、他人を変えることはできません。つまらない相手を面白くて楽しくてハッピーな人に変えることはできません。でも、つきあう相手を変えれば、人間関係はどんどん変わります。そして、その人間関係が自分を変えようとするあなたを支えてくれるのです。
[参考]
『つながり 社会的ネットワークの驚くべき力』ニコラス・A・クリスタキス/ジェイムズ・H・ファウラー(講談社/2010年)
「仕事のやりがい・成果の影には”感謝の言葉”の有無が影響 ビジネスパーソン1000人調査【仕事と感謝編】で明らかに」(株式会社日本能率協会総合研究所/2016年)
[自分を変える7つの習慣]
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