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「産後うつ」というけれど……自殺が妊産婦の死因の1位に


妊産婦の自殺、2年間で102人 精神的に不安定(朝日新聞) https://www.asahi.com/articles/ASL9623M0L96UBQU001.html?iref=pc_ss_date

このニュースは衝撃的でした。

自殺を図る人の多くがうつ状態にあるということが知られています※1。ただ、うつが自殺の原因だとしても、うつを発症させた、あるいは抑うつ状態に陥った原因、根本要因はほかにあります。さらに、うつ発症に至る原因は複合的で、自殺実態1000人調査※2によれば、平均3.6個の要因が絡み合っていたそうです。

10人に1人がなるといわれる産後うつに共通するのは「孤独」です。 いわゆる「ワンオペ育児」、あるいは、家事の丸投げ。仕事などの関係で夫と離れ離れの生活(日テレのアナウンサー、山本真純さんはこのケースでした※3)など、孤独は妊産婦さんを追い詰めます。また、夫や親族のDVのほか、親族からの過干渉やハラスメントがあり、夫がその防波堤になってくれないなど、夫の無理解、無関心が引き金になることも。さらに、出産をきっかけに過去の被虐経験がフラッシュバックして、自殺に走るケースもあります。

多くの不安が妊産婦さんを追い込みますが、「家族・親族の人間関係のストレス」は、大きな要因です。

妊娠中から出産後はただでさえ、身体的なコンディションに問題を抱えている時期です。そんなとき、つわりや切迫流産のリスクで「安静に」と医師に言われて、「ただ寝てるだけ」「妊娠は病気じゃない」「甘えだ」などの言葉を家族からかけられたら、彼女はどう感じるでしょう? 出産後は、出産によって身体はボロボロ、さらに授乳のためまとまった睡眠時間がとれません。疲れ果てているところを「家事がおろそかだ」と責められたとき、彼女はどう感じるでしょう?産後は、母親と赤ちゃんが愛着を形成する大事な時期です。赤ちゃんがかわいいのはわかりますが、親族が彼女から取り上げてしまったり、赤ちゃんと二人、静かに過ごしたいのに過剰に接触してきたり、彼女がやりたいように育児をすることを邪魔されたら、彼女はどう感じるでしょう?

メンタル不調に陥ったら、その環境や要因を変えなければ回復はありえません。 妊産婦さんは、安全確保を。死を選択する前に、そのつらい環境から逃げてください。 周囲の家族・親族は、妊産婦さんを手厚く保護してください。 彼女が誰の子を宿し、産み、育てるのか、よく理解してください。 たしかに、「産後うつ」は自殺の直前の要因かもしれません。発症させてしまった原因は別に複数あります。それを除去しなければ、うつを治すことも、自殺を止めることもできません。誰も望んで「産後うつ」になったわけではないのですから。

※1 「海外における自殺対策の取り組みとエビデンス」山田光彦,2008 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits1996/13/3/13_3_20/_pdf/-char/ja ※2 自殺実態1000人調査 http://www.lifelink.or.jp/hp/Library/whitepaper2013_1.pdf ※3 兄が自殺原因激白…日テレ山本真純アナ「産後うつ」かhttp://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20100728/enn1007281143000-n2.htm

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