【2025年】自分を変える7つの習慣【6】禁忌事項①努力をやめる
更新日:9月21日
ここまで5つの「自分を変える習慣」をご紹介してきました。残りの2つは「これをやってはダメ」という禁忌事項。そのひとつが「努力」です。勘違いして、間違った方向にひた走り、自分をいじめて不幸にする、文字どおり「無駄な努力」をしている人は少なくありません。そんなあなたにお願いです、「好きこそものの上手なれ」という真理を思い出してください。
たいていの人が「努力」という言葉で自分に強いているのは、ただの苦行です。
「好き❤」だからこそ続けられる
「努力」のほとんどは、イヤなこと、苦手なこと、やりたくないことでできています。なのに、続けていられるという奇跡を起こしているのは、それが「好き❤」だからです。行っていることがシンプルに「楽しい」「気持ちいい」、実現したら「うれしい」「ワクワクする」など「好き❤」の種類はさまざまかもしれません。でも必ずひとつはあるはずです。
もし「好き❤」じゃないけど続いてるなら、好きなことにまだ気づいていないか、努力という自分いじめに喜びを見出しているのいずれかです。後者の場合、努力という大義名分のもと、過剰になったり、方向性が見失われたりしがちで、その結果、事故を招きます。
何かを続け、達成したいなら、まずそれを好きになることです。好きなものに向かったとき、人は本領を発揮します。
シェイクスピアは『ハムレット』『オセロー』『リア王』『マクベス』の四大悲劇+『ロミオとジュリエット』で悲劇ばっかりのイメージがありますが、実は作品の数は喜劇のほうが多く、初期はパトロンである王族・貴族を喜ばせる大河ドラマ的な史劇や喜劇ばっかり書いていました。そのシェイクスピアがこんなふうに言っています。
人は心が愉快であれば、終日歩んでも嫌になることはないが、心に憂いがあれば、わずか一里でも嫌になる。人生の行路もこれと同様で、人は常に明るく愉快な心をもって人生の行路を歩まねばならぬ。
愉快であれば、夢中になれます。あまりにも楽しいから、気持ちいいから、うれしいから、寝食を忘れていつまでもやり続け、どれだけやってても苦にならない。これこそが「好き❤」の効能です。努力なんかより、よほど効き目があります。
もしかしたら「自分が何を好きかわからない」という人がいるかもしれません。その場合は、「【2】自分を変える土台をつくる」と「【3】楽しい行動を習慣づける」のワークで、しっかり自分の幸せについて再確認しましょう。
「好き❤」は限界を突破する
多くの努力家は「努力はいつか報われるから努力すべきで、努力しないのは怠惰だ」と考えています。本当でしょうか? パナソニックの創業者で経営の神様と呼ばれた松下幸之助は、こんなふうに注意を促しています。
迷う、ということは、一種の欲望からきているように思う。ああもなりたい、こうもなりたい、こういうふうに出世したい、という欲望から迷いがでてくる。それを捨て去れば問題はなくなる。
努力を続けるにはエネルギーが必要です。「人から認められるから」「出世するから」「お金が儲かるから」という欲望からは迷いが生じるため、努力を続けるエネルギーとしては足らないようです。
一方、「好き❤」の純粋性は疲れすら感じさせることなく、限界を突破していきます。
将棋の藤井聡太竜王・名人(他5タイトル保持/九段)は、中学生のとき「将棋を突き詰めたいから、高校進学しない」と言って、お母さんを困惑させたそうです。相談された師匠の杉本昌隆八段はこんなふうに藤井四段(当時)を諭しました。
高校に行くとクソみたいな棋院の仕事をしないで済むから、結果的に将棋研究に没頭できる時間が増えるけど、どうよ?
むしろ、進学したほうが「好き❤」にできるよ、と口説いたわけです。師匠の言葉を聞いた藤井四段は高校受験を選び、お母さんも一安心。師匠の言葉どおり、将棋に打ち込むと、中学卒業前に五段に昇段。高校進学後も続々と最年少記録を更新、六段昇進と快進撃を続けました。2020年には棋聖・王位のタイトル二冠を奪取し、師匠に並ぶ八段昇格を果たします。
のちに、藤井二冠は高校卒業目前の2021年1月末、退学届を出し、世を騒然とさせました。公式戦で勝ちまくって、通学が難しくなった結果、高校卒業より将棋を選んだということになります。そしてタイトルを次々と獲得、2023年にはついに21歳の若さで史上初の全タイトル八冠独占。
報いられたのは努力ではありません。どれだけそれが「好き❤」か、その力です。すべてを投げうってでもとことん打ち込みたい情熱、それを支えた型破りで秀逸なアドバイスはいずれも「好き❤」から生まれたのです。
「努力は報われる」という幻想
もうひとつ、努力には落とし穴があります。
たしかに努力をすればスキルが上がったり、成果は出せるかもしれません。ただし、それが正当に評価されるとは限りません。なぜなら、どんなにあなたに才能があって、努力を重ねたところで、理解してくれる環境・タイミング・人物がなければ評価につながらないからです。
もし、今している努力が評価されるのが100年後だとしても、あなたはその努力を続けられるでしょうか? たいていの人は、評価されないことに心折れてしまうでしょう。これが「努力が報われる」という幻想に隠された落とし穴です。そんな落とし穴にハマることなく、ただただ自分の道を歩み続けるには「好き❤」の力が欠かせないのです。
「好きこそものの上手なれ」
「好き❤」なことに取り組んでいるなら、弱点も逆境も「さあ、どうやってこいつを料理してやろう」と工夫やアイディアをひねり出すスパイスになります。失敗は攻略欲を掻き立てる喜びになります。
二刀流でアメリカに渡り、新人王・MVPと活躍していた25歳の大谷翔平選手はインタビューで自分のことをこんなふうに話しています。
自分自身に才能があるとは思っていません。あるとすれば、好きなことを頑張り切れる才能、でしょうか。野球より面白いことは見つからない。野球のことばかり考えています。逆に好きなこと以外は適当だったりします。整理整頓とかね
このとき、大谷選手は投手としての生命線、肘の手術に続き、膝の手術に踏み切り、リハビリ中でした。どこにも失意が見られず、身体が動かせなくても野球のことばかり考えている、すごい「好き❤」エネルギー。
手術を重ねながら復活し、一挙一動が話題になる大活躍。その源は「好きなことを頑張り切れる才能」でした。
「好き❤」の戦略的用法
「好き❤」に気づいていると上達しやすく、効果が出やすくなります。苦労が苦と感じないので、自然とそうなるのでしょう。今やっているダイエットや勉強、トレーニングのどの部分が好きなのかを探してください。
また、「好き❤」には縁を結ぶ、広げることでさらに自分を喜ばせるという返報性があります(詳しくは【5】気持ちいい人間関係からパワーをもらうを参照)。「好き❤」でつながる「同好のよしみ」でというご縁には、ものすごいパワーを秘めています。
精神科医で作家としても活躍した斎藤茂太は『飛行機とともに―羽ばたき機からSSTまで』『とにかくヒコーキへの情熱』という著書を記すほどの無類の飛行機が好き(というか、ほとんどビョーキ)でした。これだけ「好き好き」言って、行動していると、飛行機の縁が生まれます。航空会社の機内誌に登場したり、果てはJALのファーストクラスのテレビCMにも出演しました。
彼は、こう言っています。
「できること」が増えるより、「楽しめること」が増えるのが、いい人生。
無駄な努力を続けた結末
ひとつも「好き❤」でない、無駄な努力は続ける価値がありません。
なかには、自分を痛めつけるイジメ抜く「苦行が好きだ」という風変わりな方もいるでしょう。お好きで楽しんでいるなら、無駄な努力ではありません。ただし、苦行は、メンター、マスター、師匠などの指導の下で行われます。なぜかといえば、正しく行われなければ効果がないばかりか、危険と不利益をもたらすからです。そもそも初心者が単独で行うには無理があります。安全に楽しむために、必ず指導者を探してください。
無駄な努力とは、「みんながやってるから」「親が先生が言うから」「できないとあとで困るから」「常識だから」「流行ってるから」と正当化されたり動機づけされたりします。続けていても快感をまったく伴いません。他人に合わせる、他人の顔色をうかがう、他人と比べるなど他人軸・他責思考になります。「どうせ自分は」と卑屈になったり、とかく自分にダメ出したり、自己否定をくり返します。最後は「やらねばならない」という強迫観念に追い立てられて燃え尽きます。それでも続けたいですか?
「好き❤」を排除して、どうしても「自分を虐める無駄な努力を続けたい」と思わせる何かがある方は、カウンセリングをおすすめします。
たとえどんな理由があっても、一人で苦しむことだけはもうやめてください。
[自分を変える7つの習慣]
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