支配型毒親:子どもをマインドコントロールで束縛し、独立を許さない過干渉・過保護な親
更新日:8月27日
マインドコントロールで絶対的な「親(支配)-子(服従)の絆」を築き、自分が幸せを実感するために子どもの人生を自分の思いどおりに操ろうとする毒親です。
愛情や躾と称して、「~するな」「~しなさい」と頭の先からつま先まで口を出す過干渉な親も、何事も先回りして世話を焼く過保護な親も、子どもに意思決定を許さず、人生を奪う点では同じです。親の意のままに動く子か、親から自立できない無力な子に育て、親から離れられないようにして束縛するのです。
子どもは親の所有物「親の言うとおりに生きるべき」
支配型毒親の特徴
子どもの服装や髪型から進路や趣味、交友関係や結婚相手にまで口出しし、親の言うとおりにするよう強要します。子どもには、選択の自由も、プライバシーもありません。友だちとのメッセージや手紙、日記まで検閲する親もいます。
「親は常に絶対正しい」と子どもが疑うことを許さず、親の都合だけが優先されます。「子どもは親に育て養ってもらっているのだから、言ううことを聞くべき」「親が喜ぶことをして、親を幸せにするべき」というわけです。
親の期待に応えられないと「もっとがんばらなければダメじゃない」と叱咤し、「まあ、こんなこともできないなんて、うちの子じゃないわ」と存在まで否定されるのです。一方、子どもが見事に期待どおりの結果を出すと、ご褒美と称して、周囲に連れまわして自慢したりするのも支配型の毒親の特徴。まるで子どもは親のペットかアクセサリーです。たいてい支配型の毒親は、世間体を気にするだけでなく、プライドが高く「うちの家がいちばんなのだ」と考えます。子どもの友だち、近隣、あるいは親戚の家庭をとかく下に見て、家庭内で罵ったり、貶したりする親も少なくありません。
子どもが成人してからも、親の理想どおりであることを望まれ、独立を阻みます。結婚後も、何かと用を言いつけて実家を訪問するように命じ、あるいは、独立先を訪ねて世話を焼いたりします。料理などを送りつけたり、不在時に置いて帰ったりします。介入しないでほしいと言うと「親が子どもの世話をして、何が悪いのか」と怒ったり悲しんだりしてみせて、罪悪感で子どもを束縛し、離れることを許さないのです。
子どもは親を幸せにするために存在する
支配型毒親のマインド
子どもが惨めな思いをしないように 親は子どもを管理してあげているのだ 未熟な子どもは分別がある親に当然従うべき
子どもは親の期待に応えなければならない そのために子どもは必死に努力すること
大切なのは育て養っている親の気持ち 子どもは親を幸せにするために存在している
「こういう子になれ、さもなくば、うちの子ではない」と支配型の毒親は自分の要望を子どもに押しつけます。親の片方がそんな暴走をしているとき、パートナーであるもう一人の親も制止せず、「何不自由ない暮らしの中で何が不満なの?」と子どもの異論を封じ込めます。
周囲に自慢できる、自分の叶えたかった夢や理想の人生を、子どもを使って実現しようとし、子どもが勇気を出して自分の望む人生を選べば、それを妨害したり、呪いをかけたりします。困ったことに、支配型の毒親にまったく悪意はありません。むしろ、「自分はつねに正しく、子どものためにしている」と信じています。
おまえは何ひとつまともにできない だからおまえにはずっと親が必要なのだ
支配型毒親の「毒性」
自己否定・自己評価の低さ・完璧主義・攻撃性・抑うつ感・無気力・警戒心・曖昧な境界線・罪悪感
支配型の毒親には、「どこまでが自分で、どこからが子ども」というきっちりした境界線がありません。そのためアダルトチルドレン(AC)は「自分が何者なのか」という感覚があいまいで、人間関係で混乱しがちです。自分の存在を実感しにくく、自信が持てません。
「○○が好き」「○○がいい」「○○がやりたい」と言っても、ことごとく否定されるので、ACは、いつしか本心や感情を表現すること自体を止めてしまいます。また、そうした場面を恐れ、警戒します。そもそも自分がどんな気持ちだったのか、何がやりたいのかがわからなくなる場合もあります。何をするにも、それが親が気に入る正解かどうか探るため、ACはいつも親の顔をうかがい、空気を察してきました。こうして幼い頃から刷り込まれた親の価値観や倫理観は、成長してからも抜けずに、自己批判で自分を責めたて苦しめます。周囲の目が非常に気になる一方で、他者への批判的だったり攻撃的な傾向も刷り込まれます。
もちろん、成長過程において実力で親を超えたり、反抗したりして、毒親に打ち勝つACもいます。それでスッキリすればいいのですが、残念ながら後ろめたさに浸ることが多く、その場合、勝利や成功に対してネガティブな感情を抱き、無意識に、社会で勝利や成功しないようにそのチャンスを自らつぶすようになります。親に打ち勝った罪悪感に襲われることを避けるためです。こうして支配型の毒親の支配は、形を変えて続くのです。
支配型毒親が生まれた理由
[支配型毒親が生まれるパターンその(1)]
過干渉または過保護な親に育てられ、両親に服従したか愛玩されて育った、もしくは両親に反抗して言いつけとは完全に逆に進んだ
[支配型毒親が生まれるパターンその(2)]
両親から愛情を十分に受けることができない事情、経済的な困窮、あるいは災害などによって、不遇の子ども時代を過ごした
[支配型毒親が生まれるパターンその(3)]
代々継がれた家名、知名度のある職業や企業、名門の出身校など、名前や仕事、お金が重視される保守的で家で育った、あるいはその家に入り、家族のメンバーになった
[支配型毒親が生まれるパターンその(4)]
ワンオペ育児、片方の親の過剰な教育欲などで、親がパートナーとの関係性に価値を見失ったり、失望して、子どもだけが人生の希望になった
[支配型毒親が生まれるパターンその(5)]
同年代や周囲と比べて、今までの人生での成功体験や幸せと呼べるものが少ない、あるいはまったくないと思っている
自らが不遇な環境で育ったために子どもに与えすぎる支配型の毒親もいます。その場合も養育者からの過干渉を経験していることが少なくありません。両親が話し合いで理解を得る努力をやめた(4)や、そもそも自分の人生にネガティブな感情がつきまとう(5)も、(1)の可能性が高いでしょう。
毒親から刻みつけられたマインドと 自分の人生は別のもの
アダルトチルドレン(AC)が世代間連鎖するのは、毒親のマインド(考え方や価値観、行動のパターンなど)が継承されるからです。幼少期からの長きにわたって刷り込まれたため、今ではあたかも自分の考え方や価値観であるかのようにすっかり身に染みついています。「あの親のようには絶対にならない」と強く否定すればするほど、皮肉なことにその価値観を強く意識することになり、そこから自由になれません。
毒親の支配、負の連鎖を断ち切る第一歩は、ただちに「自分の人生は自分のものだと気づく」ことです。これはリアルトレジャーのACカウンセリングで行う「自分を取り戻す5つのステップ」のファーストステップになります。あなたの人生は、親とは無関係に、あなただけのものなのです。
「自分を取り戻す5つのステップ」はこのあと、毒親との距離感や調整、毒親との関係性の理解と続きますが、「自分」という土台ができていなければ、先に進めません。
「自分を取り戻す5つのステップ」については、近日中にブログ記事を公開する予定です。リアルトレジャーのSNSでお知らせしますので、フォローしてお待ちください。
支配型毒親に育てられたACが自分を取り戻すために
トラウマはほとんどのアダルトチルドレン(AC)を苦しめます。ACの場合、長期にくり返し行われることで起こる「複雑系PTSD」であるため、発覚しにくいうえに、理解されにくく、誤解されやすい側面があります。複雑系PTSDは、一般のPTSDとは異なる特徴があり、治療も長引く傾向にあります。
ACの自己奪還には「自分が何者なのか」「生きづらさの正体は何なのか」など、自己をよく知る必要があります。ただし、ネガティブな面ばかりでありません、ACはレジリエンス(立ち直る力)となる強みも携えています。
「自分を変える7つの習慣」では自分を変えたいと望むあなたの、直近のテーマや目的、問題点ごとに、身につけると解決につながる習慣を紹介します。明確な目的や悩みの解消など、現在のご自分のテーマに合わせて新習慣を始めてみましょう。
[あわせてチェック]
・子ども時代に機能不全家庭で演じていた役割
その役割からどんな影響を受けているのか
[AC関連記事]・毒親に育てられた子どもたちの4つの苦しみ
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